2012.04.30 Monday
ヤマブキ
ヤマブキの枝にワイルドストロベリーの葉を一枚、添えました。
今、野山では、かぼそげな花が若草色の葉に混じリあい、細い枝に重なりあって咲いています。春の風が山吹色の波のように枝を揺らし、過ぎ行く短い春を惜しんでいるかのようです。
そして、ヤマブキといえば、どうしてもこの有名な歌を思い出します。
“七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき”
太田道灌が、旅の途中で突然のにわか雨にあい、蓑(みの)を借りようと立ち寄った田舎家で、若い娘がヤマブキの一枝を差し出した話は、この歌とともに、とても有名です。
実に蓑をかけ、山吹に山葺き(茅葺の粗末な家)をかけて、貧しい暮らしのなかで、貸すべき蓑すら無いことを憂いている歌です。
何も言わずに黙って、ヤマブキの一枝を、古歌に重ねて差し出す高度な感性には、現代の私たちが持ち合わせていない、大和民族の究極の美学を感じます。
そして、ヤマブキは本当に結実しないのか、という疑問にも突き当たります。
じつは、一重のヤマブキは結実しますが、八重のそれは結実しないので、地下茎や株分けによって増えていきます。
この歌は、八重のヤマブキを詠んだと考えられます。
また、一重のヤマブキの実は小さくて目立たないので、この歌の影響もあり、一般に実ができないと誤解されることも少なくありません。
ひとつの植物にも、このような深い物語や、不思議があり、興味はつきません。
器(白川義和作)は、鏡餅のような胴に、直径1センチの首が少し立ち上がっています。下方の、岩場にくっ付いた貝殻の跡のように残る砂色の紋様が、自然な味わいとなっています。
いちゆう
今、野山では、かぼそげな花が若草色の葉に混じリあい、細い枝に重なりあって咲いています。春の風が山吹色の波のように枝を揺らし、過ぎ行く短い春を惜しんでいるかのようです。
そして、ヤマブキといえば、どうしてもこの有名な歌を思い出します。
“七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき”
太田道灌が、旅の途中で突然のにわか雨にあい、蓑(みの)を借りようと立ち寄った田舎家で、若い娘がヤマブキの一枝を差し出した話は、この歌とともに、とても有名です。
実に蓑をかけ、山吹に山葺き(茅葺の粗末な家)をかけて、貧しい暮らしのなかで、貸すべき蓑すら無いことを憂いている歌です。
何も言わずに黙って、ヤマブキの一枝を、古歌に重ねて差し出す高度な感性には、現代の私たちが持ち合わせていない、大和民族の究極の美学を感じます。
そして、ヤマブキは本当に結実しないのか、という疑問にも突き当たります。
じつは、一重のヤマブキは結実しますが、八重のそれは結実しないので、地下茎や株分けによって増えていきます。
この歌は、八重のヤマブキを詠んだと考えられます。
また、一重のヤマブキの実は小さくて目立たないので、この歌の影響もあり、一般に実ができないと誤解されることも少なくありません。
ひとつの植物にも、このような深い物語や、不思議があり、興味はつきません。
器(白川義和作)は、鏡餅のような胴に、直径1センチの首が少し立ち上がっています。下方の、岩場にくっ付いた貝殻の跡のように残る砂色の紋様が、自然な味わいとなっています。
いちゆう