2012.02.29 Wednesday
アネモネ
アネモネを主にして菜の花を根締めにしました。
アネモネはギリシャ神話にも出てくるほど、古くから知られた草花です。
美少年アドニスが死んだ時に、美の神が流した涙から生えてきたのがアネモネの花とされていますが、花にまつわる多くの神話は、なぜいつも悲劇なのでしょうか。
悲しみの記憶のほうが人の心にいつまでも強く残るからでしょうか。
菜の花は、早春の畑一面を黄色いじゅうたんの波で埋め尽くし、春の花々の目覚めをうながすかのようです。
菜の花が咲く頃に降る雨を菜種梅雨、霞がかった月のことを菜種月、と日本の言葉の美しい表現力は現代人の思いもつかない豊かな詩情に溢れています。
この器(白川義和作)は力強い変形の花器ですので、器に負けないように大きなモンステラの葉でバランスをとりました。
三箇所にある、高温によって溶け流れた珊胡のような灰油が、面白いアクセントとなっています。
水盤の形をとりながら、中心部は壺のように口が立ち上がっているので足元が締まって見え、活け易い器です。
いちゆう