士峰流 いちゆうの花

士峰流 森いちゆう による華道ブログ
Ichiyu's Flower Arrangements
チューリップ
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    チューリップにボケの枝を添え、シクラメンを根締めにしました。



    チューリップの花を活ける時には茎だけを持って、絶対に葉に触れないようにします。
    どんなにしっかりしているような葉でも、手に触れるとすぐに形が崩れ、しなって曲がってしまいます。

    また、今の時期、鉢植えのシクラメンは、花屋さんの店先を色とりどりに飾っています。
    めったに耳にしない、シクラメンの和名をご存知でしょうか。
    洋名の一つの“sow bread”(豚のパン)を“豚まんじゅう”と直訳されたそうですが、あの牧野富太郎博士は、花の美しさにふさわしくない名前だと云うことで“カガリビバナ”と命名したそうです。

    ボケの花は11月の終わり頃から4月の中頃まで長く楽しむことができます。

    以前に、満開のボケの花を花展で活けた時、ひとりの老婦人から声を掛けられました。
    “今日は思いがけず、私の一番好きな、そして一番思い出のある花に出会うことができました。ありがとうございます。”とお礼を言われました。

    彼女の話によると、戦争中に爆撃に遭い防空壕の中で怯えていた時、一人の若い兵隊さんがボケの一枝をそっと差し出して慰めてくれたそうです。
    その優しさに励まされ、日ごとに乙女の想いが募っていったそうですが、その後、彼は永遠に帰らぬ人となり、そして時は流れて、彼女は結婚し子供にも恵まれましたが、ボケの花と重なる彼への追慕の念は深く心に刻まれて、今もなお、折に触れ鮮明な記憶として蘇るそうです。

    人生の折々に、私たちの傍らにある花や木が、忘れえぬ色々な美しい思い出を色濃く紡いでくれます。

    花器は葉っぱ形のお皿に、同じ焼きの小さな手つきの器を載せました。
    身の回りにある色々な物を、花器として変身させるのも楽しみのひとつです。

    いちゆう
    | いちゆう | - | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    白梅と藪椿
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      白梅と藪椿を活けました。



      梅にはたくさんの別名がありますが、その中でも、春告草(はるつげぐさ)と呼ばれる名前は、匂いたつ梅の香りとともに、新しい命が芽吹く春の訪れを間近に予感させてくれます。


      椿の花も、改良が重ねられて、たくさんの種類がありますが、特に茶席の花としては“藪椿に始まり藪椿に終わる”と言われるように、藪椿の、その素朴でひなびた風情が、侘び寂びを好んだ茶人をはじめ、風流を愛する多くの人を魅了しています。

      また、椿は、花の散り際のいさぎ良さのため、昔の武士階級の人々に愛好され、階級文化を守るために通俗化する事を嫌い、枝からポロリと落ちる花の様子を、縁起が悪いものとして噂を流布し、一時期、民衆が広く植えることを妨げたとも言われています。

      しかし、武家屋敷跡や僧院、神社などで立派な椿の大木を見ることができますし、また帯や着物、漆器などの美術工芸品のほか、身の回りには多くのデザイン化された椿の花があり、愛好熱は紆余曲折を経ながら今に続いています。

      器(白川義和作)は、両端に小さな口のある変形の花器で、作者にしては珍しく遊び心溢れた作品です。

      活け口が複数ある時には、連作と同じ扱いとして花材の分量を3対1の目安にして活けます。

      いちゆう
      | いちゆう | - | 10:37 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
      老松
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        黒松の老松を花屋さんから頂きました。これは長い年月、風雪に耐えることで自然にできた枝振りです。



        このような良い枝振りにめぐり合うのはとても幸運なことです。

        松は常緑樹として、冬でも緑の葉を茂らせることから、若さや不老長寿の象徴とされ、縁起の良いものとしてお正月の飾りに欠かせない花材となっています。

        また、松は神が降り立つ神聖な木として崇められてきました。
        三保の松原の羽衣伝説の中の“羽衣の松”などは特に有名です。

        花器は高さ26センチ、直径32センチの大きな沖縄の壺です。
        本来この形の壺は泡盛りを入れて熟成させるためのものですが、これは花器として造ってもらいました。

        大振りな松の枝に負けない、がっしりとした厚みのある口の周りを見せるために、根締めのハボタンを少し小さめにしました。

        いちゆう
        | いちゆう | - | 22:40 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
        苔梅と松
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          前回活けた苔梅と松を再利用してハボタンを足元に入れ、小振りな作品にしました。

           


          花材にはいっさい、ハサミを入れていませんので、前回と長さも同じですが、活ける角度や器によってこのように印象が違ってきます。

          松は、まっすぐに立てて入れることにより、より松らしい綺麗な形を見せることができます。

          小さく活けても、サイドボードの上や狭いスペースに飾ることができ、充分お正月らしく、あらたまった雰囲気を出してくれます。

          花器(白川義和作)は長さ20センチの一輪挿しを横にした様な形です。
          胴の部分の荒削りなヘラ目が小品とは思えない重厚な作品となっています。

          いちゆう

          | いちゆう | - | 21:11 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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