水仙は根元の袴(葉と花茎を包む筒状の白い部分)と呼ばれている部分を、指先で軽く揉んでほぐし、いったん取除きます。
次にバラバラになった葉と花茎をきれいな形に整えて、もう一度、袴を穿かせ直して活けます。
水仙の葉は、指で矯めたりせずに、自然の曲がりを旨く生かすように心がけます。
花は、新年が過ぎるまでは葉より背丈を低く活けます。
松の内を過ぎると春の予感を先取りして、葉より花を高く活けます。
そのためにも袴の穿かせ直しが必要となります。
苔梅の苔は、大気汚染にとても敏感なので、このようにきれいな苔が付いているということは、自然がよく守られたきれいな空気のある場所で育った証拠です。
そして苔がむすまでには長い年月を要するので、長寿の願いを込めて、おめでたいお正月花として松などと組合せて使われます。
千両も、おめでたい花材のひとつです。ちなみに、万両、百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドオシ)などがあり、実の付きかたが少なくなるほど、名前の額面も低くなって行くのもちょっと面白いですね。
器は、銘を深山路という黒織部の茶器です。
少し大振りの薄茶碗で、砂色の地に枯れた織部の黒い筆あとが正月らしく、寿春の花にふさわしくなったと思います。
いちゆう