士峰流 いちゆうの花

士峰流 森いちゆう による華道ブログ
Ichiyu's Flower Arrangements
水仙と正月花
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    今回はお正月の花として、水仙を主にし、左に苔梅を流し、松の足元に千両をあしらいました。



    水仙は根元の袴(葉と花茎を包む筒状の白い部分)と呼ばれている部分を、指先で軽く揉んでほぐし、いったん取除きます。
    次にバラバラになった葉と花茎をきれいな形に整えて、もう一度、袴を穿かせ直して活けます。

    水仙の葉は、指で矯めたりせずに、自然の曲がりを旨く生かすように心がけます。
    花は、新年が過ぎるまでは葉より背丈を低く活けます。
    松の内を過ぎると春の予感を先取りして、葉より花を高く活けます。
    そのためにも袴の穿かせ直しが必要となります。

    苔梅の苔は、大気汚染にとても敏感なので、このようにきれいな苔が付いているということは、自然がよく守られたきれいな空気のある場所で育った証拠です。
    そして苔がむすまでには長い年月を要するので、長寿の願いを込めて、おめでたいお正月花として松などと組合せて使われます。

    千両も、おめでたい花材のひとつです。ちなみに、万両、百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドオシ)などがあり、実の付きかたが少なくなるほど、名前の額面も低くなって行くのもちょっと面白いですね。

    器は、銘を深山路という黒織部の茶器です。
    少し大振りの薄茶碗で、砂色の地に枯れた織部の黒い筆あとが正月らしく、寿春の花にふさわしくなったと思います。

    いちゆう
    | いちゆう | - | 21:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    エビヅルとヒヨドリジョウゴ
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      エビヅルを主にして、ヒヨドリジョウゴの実を活けました。



      エビヅルは葡萄科の落葉つる植物です。
      果実は暗黒色ですが、潰すと中から綺麗なワイン色の果汁が出てきます。
      食べることもできますが、渋みと酸味が強く、ワインを造る品種の葡萄のような味がします。

      葉はハート型で綺麗に紅葉しますので、果実との色の対比に深い趣きがあります。

      朱い実のヒヨドリジョウゴは、ヒヨドリがこの実を好んで食べることから付けられたそうですが、有毒植物なので注意しましょう。
      鮮やかな朱色の実は冬枯れの景色に良く映えて、野山の賑わいを色濃く演出します。

      つる性の植物を活ける時には、垂れ下がる長さや拡がりを計算に入れて、なるべく背が高い花器を選びます。

      つる首よりは少し大きめでシンプルな形のこの器(白川義和作)は、地味で抑制の効いた色調の寡黙なたたずまいが、今日の花材を十二分に引き立ててくれました。

      いちゆう
      | いちゆう | - | 21:03 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
      ホトトギス
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        ホトトギスの花を活けました。



        ホトトギスという名前は、花びらの紫色の斑点が鳥のホトトギスの胸の斑紋と似ていることから名付けられたそうです。
        ホトトギスも種類が沢山ありますが、これはごく一般的な種類のホトトギスです。葉には黒色の油の“しみ”に似た斑点がありますが、中国では“油点草”と呼び、日本でもこの字をホトトギスと読ませることがあるようです。

        初めてこの花に出会った時、心に響く深いものを感じました。
        地味であまり目立たない花なのに、どことなく漂う雅な雰囲気と佇まいに魅せられたことを覚えています。

        葉は、互生して付いているので、葉の向きには神経を使います。
        活ける時、花材の面や線が左右対称になることは、絶対に避けたい条件の一つです。

        器(白川義和作)は口の小さな、高さ18センチの小振りな花器ですが、全体に見られる、金茶に山吹茶を混ぜ合わせたような色合いの中に赤錆色の紋様が浮きで出ていて面白い一品です。

        いちゆう 

        | いちゆう | - | 13:01 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        パピヨンとアネモネ
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          クワズ芋の仲間のパピヨンにアネモネを添えて活けました。


           

          この斑入りの美しい大きな葉は、花屋さんではパピヨンと呼ばれていますが、どんなに辞書をさがしてもパピヨンでは見当たりません。新しい品種なのかもしれませんね。パピヨンという名前は、大きく羽を広げたように見える葉や、先にある、触覚のように伸びたヒゲが蝶々のように見えるからでしょうか。

          このように、大きな葉を主として用いるときには、例外を除いては小さい葉は高く、大きい葉は低く活けます。
          葉に大きさの違いがない場合には、軽やかに見えるものを高くします。
          重心を低くすることによって、安定感のある作品にするためです。

          アネモネは春の花ですが、今は季節を問わず花屋さんでみかけます。
          つぼみを買ってきても、すぐに開いてしまいますので、シャッターチャンスが短くて苦労します。

          花(花のように見えますが、実は、花ではなくガク片です。)の大きさは、これ以上大きくても、小さくてもバランスが悪くなりますので、ポイントとなる花の大きさには特に注意します。

          太鼓型の花器はいつもの白川さんの作品です。
          丸い面を正面にすると奥行きが短くなり立体感が出にくいので、斜めにしましたが、次回は丸い面を正面に見せて、なにか面白い作品に挑戦してみたいと思っています。

          いちゆう

          | いちゆう | - | 11:40 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
          小鳥よぶ赤い実
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            ウメモドキを主にして、カクレミノの葉と、足元に小菊をあしらいました。



            ウメモドキは、梅擬と書き、葉の形や枝振りが梅の木に似ていることから名付けられたようです。

            赤い実は小鳥の格好のエサとなり、ウメノドキの種が広い範囲に子孫を残すという自然の巧妙な仕掛けに感心させられます。

            カクレミノは11月の中頃にフユイチゴと一緒に近くの山から採取してきたもので3週間近くも元気でした。
            やっと出番ができて、嬉しいのですが、深緑の葉の色が少し浅くなってきました。
            でも全体の色のバランスからいえば濃淡のあるほうが平面的にならずにいいと思います。

            山でカクレミノの葉を採ったとき、その隣にカクレミノそっくりな木がありましたが、葉には切れ込みがない全縁の葉ばかりで、同じカクレミノなのかどうか疑問に思っていました。
            調べてみると、幼木の時、葉は3〜5裂し、八つ手のようですが、生長するにしたがって3裂になります。
            その後、成木になると全縁の葉となるようで、ひとつの固体がこれほど変化するのはとても珍しいようです。

            カクレミノという名前は、葉が密集して生えているので、蓑(みの)のように体を隠せるという意味合いだそうですが、遠い昔の生活を連想させ、情緒あふれる言葉ですね。

            ずっと疑問に思っていたことが最近やっと解り、勉強不足と反省させられますが、知ることの喜びもまた大きくて、楽しいものです。

            花器は白川さんの作品です。
            このようなラッパ型の器は、花材を良く吟味しないと、とても平凡な花になってしまいます。
            器の特性を生かしながら、それに負けない花材を選びます。
            下方の、ほんのりと灯ったあかりのような景色は、隠れ蓑を着た旅人をいざなう遠くの一軒屋のあかりでしょうか。

            いちゆう
            | いちゆう | - | 13:05 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
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