士峰流 いちゆうの花

士峰流 森いちゆう による華道ブログ
Ichiyu's Flower Arrangements
吾もまた紅(くれない)なりと・・・
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    われもこうを主にして、珊瑚樹の実とサルトリイバラ、それにヤツデの葉をあしらいました。

    フランス語の大学教授のようなイケメンの花屋さんが、暑い中、わざわざ山に取りに行ってくださった貴重な花材です。



    暗い紅紫色のわれもこうは、赤と言うには程遠いのですが、”われもまた、くれない”(吾亦紅)と書きます。

    “吾もまた紅なりとひそやかに”と言う句があるように、”わたしも紅なんです”、と周りに控えめに主張する風情が日本人の繊細な感性に響き合い、多くの人に好まれている花材です。

    珊瑚樹は、果実が赤く熟すと赤い珊瑚玉に似ていることから、名付けられたようです。
    秋には、葉も、ところどころ鮮やかな赤い色に紅葉して、根締めとしても面白く使えます。

    サルトリイバラ(俗称、山帰来)は猿捕茨と書き、名前のとおり、トゲが沢山ついています。
    もう少し季節が進めば赤い実がつき、主材として使うのに最適です。

    花器(白川義和作)は、1250度ぐらいの高温で一週間ほどかけて焼締められています。
    器自体が適度に呼吸し、水も腐りにくく、夏場でも花が長持ちします。

    細首の徳利型のこの花器は、根締めに使う花材がよく締まって見え、全体のバランスもとりやすく、少ない花材で大きく活けることができます。
    またこの器の焼締めの濃い藍墨茶の色は、葉の緑の色をいっそう引き立ててくれます。

    いちゆう

    | いちゆう | - | 23:09 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
    野辺の花、色添えるタイル
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      エノコログサ(ねこじゃらし)に、ジニアとヒューケラの葉を活けました。



      ジニアは初夏から晩秋にかけて開花期間が長いことから、百日草とも呼ばれます。
      古くは、長久草とも呼ばれ、夏の暑さに強い仏花として長く親しまれてきました。

      最近、改良された品種がジニアと呼ばれ、種類も多く、名前も花形もお洒落になりました。

      花器は白川義和さんの作品で、一輪挿しの一つです。
      海底に沈んだ難破船から引き上げて来たような荒い岩肌の灰釉に魅了され、活ける前、どんな花材が似合うかといつも胸をときめかせます。

      隣に置いたプレートはスペイン人の作品で、沖縄のシーサーをデザインして、壁面を飾るタイルとして作られたものです。
      シーサーの顔もユーモラスで私のお気に入りです。

      いちゆう
      | いちゆう | - | 23:07 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
      残暑に爽やぐ森の声
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        桧扇(ひおうぎ)の花の季節は終わりましたが、実がつき始めた今の時期、主材としてよく使います。

        クワズ芋の葉、ハンカチノキ、女郎花、赤い葉のベコニアを添えました。



        桧扇の名前の由来は、葉が扇の形のように広がっていることと、平安時代には、桧を薄く切って扇を作っていたところからきているようです。

        また、桧扇の実は、大きく成長すると独りでに弾けて中から黒い種子が現れます。黒い種子のことを“ぬばたま”と呼び,万葉集などで黒を表わす枕詞(まくらことば)として使われています。

        “居明かして君をば待たむぬばたまのわが黒髪に霜は降るとも”
        などと詠まれています。

        花器は白川裕子さんの作品です。
        Uの字の大胆なフォルムですが、ひんやりした岩清水の流れる岩肌のようなこの器に、ハンカチノキの緑が活かされ、耳を澄ませば、かすかな葉擦れの音に混じって森の声が聞こえてきそうです。



        ハンカチノキは少し季節外れかも知れませんが、鉢植えではこんなに可愛い花が今、咲いています。

        いちゆう
        | いちゆう | - | 11:20 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
        近づく紅葉月の足音
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          キイチゴの葉がだんだんと紅葉してきました。奥行きに活けた、モミジの雀茶色(すずめちゃいろ)が一層、秋の気配を引き立てています。


          花のたぐいを入れなくても、葉だけで十分、紅葉月(もみじつき)の到来を表現することができます。

          モミジとカエデもまた、混同しがちですが、カエデはカエデ科、カエデ属の木の総称で、その中でも美しく紅葉する種類を一般的にモミジと呼んでいるようです。
          写真のモミジは、“野村”と呼ばれ(別名:武蔵野)、江戸時代から知られている品種です。

          花器は白川裕子さんの作品で、“これはなんだ”シリーズの中の一つの、個性的な作品です。
          焼締めのマットな落ち着いた肌の色が一段とシュールな形を引き立てています。
          そして差し口の花びらの様なヒダが微妙に変形して、花を活けようとする相手を一瞬、惑わせます。

          やさしい花を活けると器が強すぎ、強い花を活けると器の個性を殺してしまいます。
          花材と器の双方を生かす絶妙なバランスが求められます。

          いちゆう

          | いちゆう | - | 21:46 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          朱い夏の日の思い出
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            ボケ(木瓜)の実に、沖縄の友だちから数年前に球根を頂いたクワズ芋の葉と“きたきらり”をあしらいました。



            竹筒型の掛花入(白川義和作)は、右下方の切り口の絶妙なバランスと、焼締めではなかなか出にくい利休色の織りなす景色が何時見ても見飽きない逸品です。

            “きたきらり”は、モナと云う品種の百合とチョウセンヒメユリを交配して、育成されたスカシユリ型の切花向け品種です。

            ユリの花はあまり私の好みの花ではありませんが、この“きたきらり”の花は小形で、花びらも軽く反り返る程度なので可愛らしく、掛け花や一輪挿しに良く似合うと思います。



            朱夏にふさわしい花の朱の色は、なぜか子供の頃に過ごした田舎の夏の風景を思いだします。

            いちゆう
            | いちゆう | - | 16:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            ひっそりと咲いていた白い花
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              ちっちゃくて可愛いホオズキ(鬼灯)の花を一輪見つけました。

              花器は、小さい黒褐色の力強い形状の土瓶(白川義和作)ですが、それとは対照的な可憐な白い花が良く似合います。



              ホオズキは果実ばかりが注目され、地味で小さな花は、葉の陰に隠れて咲いていたりするので、はなかなか目に泊まりません。

              その白くて清楚な姿の花から、あのような真っ赤な実ができるのはとても不思議な感じがします。
              ホオズキの花言葉が、”半信半疑”や”偽り”であるのは、そういうところからきているのかも知れませんね。

              ホオズキを鬼灯と書きますが、これは中国語で小さな赤い提灯を意味します。
              果実が小さな提灯を連想するところからきているようです。
              英語で“Chinese Lantern Plant” と呼ばれるのも、ぴったりですね。
              | いちゆう | - | 16:08 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              八月の仏心花
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                蓮(ハス)を直径55センチの大皿に活けてみました。


                本当は咲いた花を活けたっかたのですが、沼地から採取して家に帰り着く頃には、美しい花もしぼんでしまいます。(イケメンの花屋さんが膝まで沼に入って苦労して取って来てくれました。感謝です。 )

                葉は蝋状になっているため水をはじき、水玉がコロコロと転がります。
                蓮はインド原産で仏教と共に伝来したと言われています。

                古名は蜂巣(はちす)と言い、花托の形状が蜂の巣に似ているところから転じて蓮(ハス)になったと言うのが通説です。
                “蓮は泥よりいでて、泥に染まらず”と言われ、仏教の中でも神聖な花として親しまれてきました。

                蓮に似た花に睡蓮がありますが、簡単な見分け方があります。睡蓮は葉に深い切れ込みがあり、水面に浮いています。花も水面よりあまり高く伸びません。(モネの睡蓮の絵はあまりにも有名ですね。)

                一方、蓮は、葉も花も水面より高くのびます。また、根茎はご存知のようにレンコンとして食用になります。

                いちゆう
                | いちゆう | - | 11:30 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
                夏に輝く短い命
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                  紫御殿、別名パープルハートはメキシコ原産のツユクサの仲間です。


                  葉をはじめ茎や萼(ガク)に至るまで全身深い紫色の姿はとても神秘的です。三弁の紅紫の可憐な花は、朝に咲いて昼にはもうしぼんでしまう、まさに佳人薄命のような花ですが、6月から9月頃まで毎朝次々と花を咲かせて楽しませてくれます。

                  私が特に気に入っている花器(白川義和作)に、ポリシャスの葉を添えて活けました。


                  黒褐色の胴全体にぐるりと掛かった灰釉、下方のほんの僅かな赤色の景色は、私たちが知りようもない遠い昔の混沌とした世界の始まりを見るようで、“創世”と名付けました。


                  今朝、ベランダに出ると、ズイナの木の枝に蝉がじっと静かに止まっていました。


                  短いひと夏の命がもう終わろうとしている様でした。私たちにとっては、早く終わって欲しい暑くて長い夏、向き合う命によっては、こんなにも時の長さに違いがあるのかと、あらためて感じさせられました。

                  いちゆう
                  | いちゆう | - | 10:46 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
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